文化
サウジ留学生卒業式典 日サ関係の架け橋を目指して
Wednesday, March 4, 2015
パンオリエントニュース
東京 - サウジアラビアの日本への国費留学生の卒業を祝う式典が、3日、都内にて駐日サウジアラビア大使館主催で行われた。
代理大使を務めるハーリド・アルブラヒム氏は、祝辞にて日本とサウジアラビアが従来の経済関係のみならず産業・教育・文化・スポーツ・メディアといった様々な分野に渡る関係強化による包括的パートナーシップ構築を模索していることに触れ、「日本で学んでいるサウジアラビア留学生は、将来、日サ両国のパートナーシップに寄与してくれることでしょう」と高い期待を示した。
この留学はサルマン国王奨学金プログラムによるもので、前・アブドッラー国王によりサウジアラビアの人材開発の強化、海外の技術やノウハウを学ぶことを目的に2005年に創設された。日本では現在約600名のサウジアラビア人生徒が学んでいるという。本年度は、学部60名、修士課程63名、博士課程9名の計132名が卒業を予定している。そのうち112名が男子留学生で、20名が女子留学生だ。
留学生の受け入れを統括する文化アタッシェのイサーム・ブカーリ氏は、日本が広島・長崎の原爆経験といった先の大戦を乗り越え世界を筆頭する経済大国になったことに言及し、「あなた方の学んだ日本の奇跡は、一致団結して事を成すという日本の人々の協力が生んできたものなのです。日本人は、その科学・経済復興の途上、組織一丸、まさに国が一枚岩となって奮闘して来たのです」と話し、「近い将来、あなた方の文明的・学術的・発展の業績が世界の国々で語られ、あなた方の手に成るサウジアラビアの奇跡が語られるのを私は待ち望んでいます」と、サウジ国王や政府の全面的サポートを糧に、母国の発展の担い手になるようにと激励した。
特別ゲストとして登壇した元・宇宙飛行士で現在は日本科学未来館の館長を務める毛利衛氏は、自らの留学と宇宙飛行士としての経験を交えながら、留学生に未来へのエールを送った。「日本人として一番特徴的な言葉を紹介します。それは『思いやり』です。宇宙から地球を見たとき、そこには限られた空気、水、食糧、エネルギーしかないことを実感しました。そしてこれから必要なのは奪い合いではなくどのように限りある資源を上手く分配するか知恵を共有すること - その知恵の一つが思いやりの文化です。日本とサウジアラビアの良い関係のみでなく、人類の未来に重いを馳せ、平和で持続的、グローバルな社会の実現に貢献してください」と述べた。
また、今年卒業する学生達の内、31名と最も多くのサウジアラビア留学生が在籍する東海大学の山田清志学長は、「異なる宗教や思想を学ぶことは世界平和の第一歩です。世界平和の担い手、そして日本とサウジアラビアの架け橋として活躍することを期待しています」と卒業生の門出を祝った。
また、エンジニアリング大手の日揮グループ会長・重久吉弘氏、資源エネルギー庁長官・上田隆之氏(代読)も祝辞を述べたことは、従来からの日サのエネルギー関係の親密さと強固さを象徴した。
卒業式典に続きサウジアラビア留学生就職フェアも同時開催され、サウジアラビア政府や約30社の日本企業が参加した。
写真:日本へのサウジアラビア国費留学生卒業式典に出席した留学生たちを激励する元・宇宙飛行士で現在は日本科学未来館の館長を務める毛利衛さん。後方には壇上にて祝辞に耳を傾ける駐日サウジアラビア大使館代理大使のハーリド・アルブラヒム氏と文化アタッシェのイサーム・ブカーリ氏。( 柴田真也子)
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