文化
私の日本体験記
Monday, August 11, 2014
By Dr. ジョセフ・ラメズ-駐日エジプト大使館プレス&メディア参事官
私が2012年8月、駐日エジプト大使館のプレス&メディア参事官として初めて来日した時、日本人の秩序、冷静さ、チームワーク、そしてお互いを尊重する態度に感銘を受けました。日本に到着した翌日、ヒシャム・エルゼメーティー駐日エジプト大使よりこの国の生活についてブリーフィングを受けたのですが、大使はこのようにおっしゃったのです。「ここでは別の惑星に住んでいるようなものですよ。ヨーロッパともアメリカとも違います。」
私も私の家族も、2年間の日本滞在を通して、大使の意図が本当の意味で理解できました。つまり日本では、他のほとんどの国とは違って、人々はとても忠実に他人のために動こうとする、しかもそれに対価を求めないということです。例えば滞在しているホテルまで荷物を持ってくれるだとか、地下鉄や鉄道の駅など探している場所まで連れて行ってくれるとか、そういったことです。このようなことはほとんどの欧米諸国では見られない特徴です。
それに加えて日本のホテルやレストランではウェイターがチップをもらう習慣がなく、要するに差別のないカスタマーサービスに徹していてウェイターは基本的なサービスについてそういった金銭的なことは意に介さないということがあります。そして、マネージャーと一般従業員の区別がつきません。私たちが来日後仮で滞在していた東京都渋谷区のホテルに着いた時、マネージャー自らが荷物を運んでくれたのですが、私はてっきり彼が全力で仕事を愛する一介のホテル従業員だと思ったほどです。
私は日本人が自分たちの資質や文化にどれだけ誇りを持っているかについても感銘を受けました。私はプライベートと仕事、両面においていろいろな日本人と接したり、仕事を共にし、その中にはジャーナリストやメディア関係者、研究施設、大学その他様々な組織の職員の方がいましたが、すべての人たちの中に真心、友情、他への敬意を常に感じることができました。
日本はエジプトから1万キロも離れており、時差も7時間ありますが、孤独を感じることはなく、どこにいても友情や思いやりを感じることができたので、私の妻は日本語を習得して日本人と積極的にコミュニケーションをはかろうとしたほどです。2012年、東京上野の博物館でツタンカーメン展があったのですが、200万人もの人が東京・大阪でこの展示を訪れ、日本人はエジプトの文明に強い尊敬と賞賛を感じていることがわかりました。
多分一番印象深いのは、日本の人々の振る舞いです。これは日本の近隣の国々と比べても、必ず日本に軍配が上がります。このような発展した都市国家でありながら、公園文化が栄えており、親しみのある、そして秩序だった美の中で緑を楽しむという教訓を得ることができました。そして日本では、春の桜を始め、1年を通していろいろな花を愛でる習慣があります。
日本人は読書が好きで、仕事を愛し、スポーツ、特に相撲という独特な儀式を持ったスポーツを愛しています。私は特にエジプト人力士、大砂嵐(これは砂漠の嵐という意味の名前です)が残した足跡により相撲を観るのが大好きになりました。
そして日本人はペットを持つのも好きで特に犬が愛されています。そしてペットとの接し方もユニークで、ペットに大きな愛情をかけ、綺麗にし、毛を刈ってやり、散歩をし、特別な服を着せたりします。
日本の子供たちは恵まれています。私は東京の公立学校を訪れた際、彼らが将来国を担うためにどのように教育されているかをみて感心しました。日本の教育は、数学や科学を教える前に、才能、スポーツ、芸術、文化の育成、そして徳や倫理を教えることにフォーカスしています。子供たちの心に幸福を与えているのです。
日本では老人や女性を尊敬し、社会の中で特別なステータスを与えています。日本には男女平等が浸透し、どこへ行っても安全で心の平安があります。私の娘は日本に来た際、車には乗らず、散歩を楽しみました。
仕事の面でいうと、私は日本や近隣のアジア諸国について、また日本人の習慣や文化を学ぶ際の課題を克服するのに何の問題もありませんでした。私はアフリカ問題の専門家なのですが、日本という課題はとてもシンプルで理解しやすいものでした。私にとって日本は人生におけるすべての局面を学ぶのにふさわしい本のようなものです。
だから日本は世界から尊敬と賞賛を集め、第三の経済大国であり、そして自動車、電化製品などといった製造業を始めとする日本企業や、主要な日本の大学が欧米の競争相手に比較しても優れたものであるのだといえるのでしょう。
日本の武士の集団が1862年にエジプトを初めて訪れて以来日本とエジプトは友好関係を維持してきました。私が日本で知り合ったすべての日本人の方々に心からの感謝と敬意を表し、この友好的な日本の人々が引き続き繁栄を享受できますよう心からお祈り申し上げます。
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