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アベノミクスの真価を問う - 三木谷氏率いる新日本経済連盟
Thursday, June 20, 2013
東京- パンオリエントニュース
東京 - 楽天取締役社長兼会長の三木谷浩史氏率いる新経済連盟は、19日、都内にてこれまでのアベノミクスを振り返るシンポジウムを行った。
パネリストの一人として登壇した慶応義塾大学総合政策学部教授の竹中平蔵氏は、「アベノミクスは今のところ100%正しい。というか、ようやく当たり前の経済政策を施策する政権が出てきたというところ。ただし、問題は政策で謳われていることが本当に実現できるかどうか。やることは山積みであり、既得権益を動かなさければいけない。そのためには政府、地方、民間が組織する三者統合本部のようなものを設け、ミニ独立政府のようなものをつくれば既得権益層の岩盤を崩すきっかけになるのでは」と述べた。竹中氏は小泉政権時代に経済財政政策・金融大臣を兼任、構造改革を推進した中核の人物である。
今年4月の日銀による異次元金融緩和政策施行発表を皮切りに、人々のアベノミクスへの期待は高まるばかりだったが、昨今株価の乱高下が続き、疑問を投げかける声も増え始めている。
『リフレはヤバい』の著者でアベノミクス批判で知られる小幡績氏は、「現在の金融緩和政策は、一日3錠服用すべき風邪薬を、食事のたびに3錠ずつ服用している状態になっている。金融緩和自体には反対ではないがやりすぎは禁物。まずはゼロ金利で耐え忍び経済バランスを取り戻すべき。既得権益層は打ち破られるべきだが、彼らの礎は非常に固い。合理的な成長戦略は既存の既得権益者にも配慮しつつ変化を促していくものではないか」と、竹中氏とは異なる意見を展開した。
実際の民間人にとって、これまでのアベノミクスはどう映っているのだろうか。フォーラムに参加したある中小企業の取締役社長の田代貢一郎氏は、「金融政策は今のところ上手くいっていると思う。問題は成長戦略。法人税の減税を企業はアベノミクスに対して何よりも期待していたと思う。自分もその一人。そこが先送りになったのは残念でマイナス評価につながるが、まだ様子見の状態」とした。
新経済連盟はこれまで起業家たちによるミクロな視点から日本経済を考察することが多かったが、マクロな視点から経済分析を行う機会を設けたと思われる。
閉会スピーチにて三木谷氏自身はインターネット選挙活動解禁により若者の投票率向上が、大きな構造改革を促す鍵ではないかという見解を示した。新経済連盟は東京都議選、参議院選挙にてアントレプレナーシップ、イノベーション、IT産業を促進する意思をもった立候補者を支援する予定。
今回のフォーラムでは竹中氏、小幡氏の他に一橋大学副学長・小川英治氏、モルガン・スタンレーMUFJ株式会社チーフエコノミスト・ロバート・アラン・フェルドマン氏が登壇、モデレーターを経済評論家の山崎元氏が務めた。
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