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イスラエルが占領やめなければ中東地域に平和なし:駐日パレスチナ大使

Monday, September 22, 2014

パンオリエントニュース

(東京) - ワリード・シアム駐日パレスチナ大使は、12日、都内にて『ガザにおける戦争の現実:中東和平の展望』という題目で講演し、イスラエルとの約50日間の紛争を経て、今後パレスチナ、イスラエル、そして国際社会が和平に向けてどのような行動をとるべきか語った。主催は中東調査会。

「今回の虐殺と破壊により、ガザの人々の意識は大きく変わった。『抵抗』が彼らの尊厳を復活させたと信じるようになった。私達は今『和平か抵抗か』という分岐路にいる。どちらかが選択されるかは『占領者』次第だ」とシアム氏は述べ、「現状ではパレスチナの人々は『抵抗』を選びつつある。不正な占領や自分たちの尊厳が蹂躙されることにこれ以上我慢できないからだ。残念ながら、私達の隣国は和平を望んでいないようだ」とイスラエルを非難した。

シアム氏は、パレスチナがイスラエル国家を認める決意が出来ていると強調した後、「イスラエルが不当な占領を続け、パレスチナとの問題が解決されない限り、イスラエルそして中東地域全体に安全保障が確立されることはない」と断言し、特に国連が両国にこれまで採択された決議を施行するよう強く訴え続けて行く役割を果たすべきだとした。

今回のガザ紛争で、網の目のように張り巡らされたハマスの地下トンネルを破壊することを名目として、イスラエルは地上戦に突入した。同国は、ほぼ全てのトンネルを破壊することが出来たと発表している。この紛争を経てイスラエルの安全保障環境は実質的に向上したのかというパンオリエントニュースの質問に対し、シアム氏は、「イスラエルはガザを『破壊』はしたが、どちらかというと失ったものの方が大きいだろう。国際社会から孤立し、批判の矢面に立った。世界有数の軍事力を有しながらも、ガザの人々が屈することはなかった。これはイスラエルの自信を失墜させた」と述べた後、「同時に、『アラブ諸国からの『脅威』がイスラエルの自衛のための言い訳として使うことが出来なくなった。アラブ諸国はイスラエル国家の存在を認めてもいいとすでに発表している。それ以上に何を望むのか?」と述べた。

一方で、一部のアラブメディアでは中東地域で起きる紛争の全ては米国とイスラエルの謀略であるという憶測が囁かれている。アラブ各国で衝突が勃発すれば、その国の国力は衰え、同地域におけるイスラエルの影響力や地位がより確保されるという味方に基づくものだ。この点に関し、シアム氏は、「個人的にはイスラエルが水面下で何らかの形で関わっていると思う。なぜなら、反政府組織や過激派が使用する武器は最新鋭や高性能のものばかり。誰が提供しているのか?そして彼らは非常に高度な訓練を受けている。その訓練を施しているのは誰か?自然に考えて2つの国が浮かぶだろう」と暗に米国とイスラエルの関与を示唆した。

日本が今後どのような役割を果たしていくかについては、「人道支援や支援金ではなく、パレスチナの中小企業やインフラ事業を発展・遂行するためのノウハウを教えてほしい。経済発展が不可欠であり、多くの中長期事業が展開されることが必要だ。日本に特にこの分野で主導的役割を果たしてもらうことを待っている」と述べた。

また、「和平構築の過程において日本は重要な役割を果たして来た。10月12日にガザ復興支援の国際会議がカイロにて開かれる。和平構築の一環として経済発展が非常に重要だ。日本には少なくとも外務大臣を派遣してほしい。日本が、和平構築の一環としての経済発展の分野で中核的な役割を果たしていくという強いメッセージを伝えられる」と、日本政府が復興支援で主導的役割を果たしていくことに期待をみせた。

しかし、ガザ紛争期間中に国連人権機構が採択したイスラエルの攻撃を非難する決議については日本は投票を棄権した。今年5月にイスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相が来日した際には、日本とイスラエルの二カ国関係を多面的に強化する共同声明を発表している。それには、安全保障や軍事面での関係強化も含まれていた。「私達は日本の各国との二カ国間関係を尊重する。日本がイスラエルと関係を築くことは私達が口を挟むことではない。しかしながら、イスラエルとは一切の軍事面での協力関係を築くことは再度よく考え直してほしい」と日本政府にメッセージを発した。

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