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イスラエルに武器放棄の重圧を:パレスチナ大使

Saturday, October 5, 2013

パンオリエントニュース

駐日パレスチナ大使ワリード・アリ・シアム氏は、30日、都内で講演し、シリアの化学兵器使用問題と連動してイスラエルも全ての化学兵器を放棄するよう国際社会からさらに圧力をかけるように訴えた。

パレスチナ大統領が国連に提出した4点の項目を含む提案書を基に、シアム氏は「国際社会がシリアに対し全ての化学兵器を破棄するよう要求することは正しいことだが、この動きはイスラエルを含む全ての中東の国々に適応されるべきだ」と説明し、「化学兵器のみならず、パレスチナは全ての大量破壊兵器に反対である。中東は非核地域であるべきであり、これは中東にある全ての国が共有すべき点だ」と述べた。

しかし、日本政府の主導により、中東諸国に日本の原発を売る動きが最近活発化している。この点についてシアム氏は、安全性が確保されることを絶対条件としながら民生利用については理解を示した。一方で、「もし原子力が破壊行為の一部として利用されるようであれば、原子力は一切禁止されなければならない」とし、「イスラエルが核兵器を保有し続ける限り、他の諸国にも核兵器を保有する権利がある。イスラエルは核兵器を放棄すべきだ」とした。

イスラエルは自国の核兵器保有について肯定も否定もしていないが、中東諸国はイスラエルの核能力に対し長年強い懸念を抱いてきた。

「22ヶ国ものアラブ諸国と対立しているイスラエルの核保有について防衛上の必要性を説く者もいるが、この問題の解決は非常に簡単である。イスラエルが1967年の国境線に同意さえすれば、イランを含む57ヶ国のアラブ・イスラム諸国がイスラエルを国家として認めるといっている。そうすれば、イスラエルだけでなくイランも核兵器を保有する必要はなくなるだろう」とシアム氏は主張した。

古都エルサレム問題に関しては、イスラエルとパレスチナの2カ国解決案が採択された折には東エルサレムがパレスチナの首都であるべきだとシアム氏は述べつつも、イスラム教徒、キリスト教徒、ユダヤ教徒すべてに開かれている国際都市として存在する案に指示を示した。

全世界には約500~600万人のパレスチナ難民が存在するといわれている。イスラエル側からは、たとえ2カ国解決案が採択されたとしてもパレスチナ領土に全ての難民を受け入れるには限界があるという指摘がある。シアム氏は、パレスチナ難民を抱える諸国、特にアラブ諸国に対し難民に市民権を取得する機会を与えるよう促した。

また、イスラエルとパレスチナは水問題も抱えている。シアム氏によると、ガザ地区では蛇口を捻ると出てくるのは海水であり、深刻な水不足に悩まされているという。「一部の入植地のイスラエル人は個人用のプールまである一方で、パレスチナ人は生きるための水すら十分に確保できていない状況だ」とし、水問題は和平協議にて早急に解決されなければらない再重要項の一つだとした。

ガザ地区は2007年からイスラム原理主義組織ハマスに実行支配されている。ガザ地区の状況を「最悪な悪夢」と表現したシアム氏は、ハマスの組織的能力が確実に弱くなってきているとし、「イラン、シリア、エジプト、そしてヒズボラからの支援を失った。現在のハマスは孤立している」と述べた。ハマスは自らの戦力を国境地帯に配備することをパレスチナ自治政府と合意したというが、ハマスが実際に行動で示すまでは信頼関係の構築が難しいことを示唆した。

講演の最後にシアム氏は日本政府に対しパレスチナを国家として認めるよう強く訴えた。「日本は国連でパレスチナをオブザーバー国家として認めることは支持してくれたが、国としてパレスチナを認めてはいない」とシアム氏。外務省からは法的理由から困難であることを告げられたというが、納得できていない理由を説明した。「イスラエルに明確な国境線はない。しかし1967年合意からパレスチナには明確な国境線がある。これは国連安全保障理事会決議で採択されている。さらに、コソボは国連では国として認められていないが、日本は国として認め、国内に大使館もある」と非難した。「日本政府はいくつかの問題に直面するであろうが、どうか努力してほしい。機は熟しすぎている。パレスチナを国家として認めるべきだ」

3年ぶりに再開された和平交渉は9ヶ月間に渡り開催される予定。(東京-柴田真也子)


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