外交

訪日中のイラン外相 「中東から大量破壊兵器撲滅を」

Wednesday, March 5, 2014

パンオリエントニュース (東京)来日中のザリフ・イラン外相は、5日、都内の外国特派員協会にて会見し、イランが核兵器保有をするつもりがないことを再度強調しつつ、イスラエルの存在を念頭に置きながら、中東地域が非WMD(大量破壊兵器)地帯になる必要があることを訴えた。

「核兵器は中東地域を始め世界に何らポジティブな影響をもたらさない。核兵器を含むWMDは国の安全を確保しないことをイランは承知しているからこそ私達はWMDが中東地域及び世界から撤去されることを強く推進している」とザリフ氏は述べた上で、「シリアの化学兵器廃棄決定は歓迎するが、これによってイスラエルが(WMDを捨て)非武装の道に向かう最後の言い訳が通用しなくなった。合意が成立すればだが、エジプトもNPT協定と化学兵器禁止条約に近く加盟する予定だ。この両方に加盟していない中東諸国はイスラエル一つだけになる」とイスラエルを非難した。

シリアに関しては、武力解決の道は一切ないとザリフ氏は述べ、政治的解決についてはシリア国民がその方向性を定めた上で公平な自由選挙が行われる必要があるとして、外国勢力が介入すべきではないとした。

日本は世界で唯一最新且つ充実した原子力設備を持ちながらも核武装していない国である。そのため、IAEA(国際原子力機構)は厳重な査察体制を敷いているが、イランは日本とIAEAの関係を参考に、同様の査察体制をイランに対しても敷くよう提言書を8年前(経済制裁が課される前)に作成し、E3+3に提出したらしいが、ザリフ氏は、「米国の手によってその提言書は日の目を見る事すらなかった」と述べた。しかしながら、国際・国内情勢の双方の変化により、今やあの提言書は意味をなさないとして、「8年前に比べ、私達に何が出来て、何が出来ないのかを考える点により慎重になった。私達は世界の各国の経験から学びたいと思っているし、日本はその中でも様々なよい例を示してくれている」とした。

イランの核問題交渉にかんしては米国やフランス、イギリスなど国連安保理の常任理事国が参加しているが、全員が核武装国である。非核化を議論する際に、核武装国が他国の非核化を推進するというダブル・スタンダードがしばしば指摘されるが、ザリフ氏は、「核兵器による相互確証破壊によって自国の安全保障が確立されると信じる国もあるが、国家の安全は他者の安全の犠牲により成り立たない。それが可能だった時代は終わった。私は9.11後にNYを訪れたが、人々の顔には不安が表れていた。他国の安全が確立されない限り、自国も安全ではない。それは米国にもいえることだ」として、核武装している大国も非核の方向へ歩んで行く必要性があるとした。

続いて、欧米の大国が国際社会を必ずしも代表しないことに言及。イランは非同盟運動(NAM)の加盟国であり、現在はイランのロハニ大統領が事務局長を務めいてる。この両者を比べる発言を述べたが、「『国際社会』の定義について議論する気はないが」と言葉を濁した。

ザリフ氏は核問題交渉の最終合意確立に意欲を見せたが、イランが核の平和利用の権利を放棄する旨はないことを明確にした。様々な問題が残っていることは認めつつも、「強い政治的意思と信念があれば合意が確立される可能性は十分にある。この合意はこれまでの『不必要な危機意識』を国際社会から払拭することにつながり、さらには核不拡散の進展も促すことになるだろう。これはイランや日本といった、近隣諸国に核の脅威が存在する国にとっては大きな意味をもつ」と述べた。

ザリフ氏はイランのこれまでの成果や方針を終始強い自身に満ちた様子で説明した。国際社会の圧力は経済政策にもかからわずイランは自らの追求する道をあきらめることはなく、今後もそうあることを示唆した。(柴田真也子)


パンオリエントニュース



© PanOrient News All Rights Reserved.




外交