政治
シリア大使館に「銃撃事件の真相究明を求める要望書」を提出
Tuesday, September 4, 2012
東京―(パンオリエントニュース) シリア北部のアレッポの取材中に銃撃され死亡した山本美香さんの同僚でありパートナーの佐藤和孝さん(56)は4日、シリア大使館を訪れ、「銃撃事件の真相究明を求める要望書」を提出した。 要望書の中で佐藤さんは、自由シリア軍が「銃撃に関わったとして政権軍の下士官マフムード・ビタールと名乗る男を拘束」しており、「尋問に対し「アレッポで政権側の軍、治安当局、情報当局者が集まった会議が開かれ、ジャーナリストを誘拐する、それがダメなら殺害することを決めた」と供述」している事実が挙げられ、「一群が明らかに私たちのグループを視認した上で銃撃してきており、「巻き込まれた」と考えるのは不自然」だと述べている。 このように「自らに都合の悪い報道を行うジャーナリストを狙って銃撃しているのだとすれば報道の自由を脅かす言語道断の行為であり、国際的に決して許されるものではない」とも記した。 今日提出された要望書は、シリアが「ジャーナリストを狙い攻撃を仕掛けているのか。今回の攻撃はその一連の作戦によるものなのか」について、真相究明すべく徹底した調査をシリア政府に要望したものである。 その後日本記者クラブで開かれた記者会見において佐藤さんは、要望書を提出した際のシリア大使館の反応ついて「代理大使のフィラス氏と面会し、調査を依頼したが、シリア当局のビザを取って入国していないので責任はないという返事だった」と述べた。佐藤さんは「大使館はダマスカスの政府に伝えることしかできず、約束はできない」という代理大使の立場に理解を示し、大使館の対応自体を厳しく非難することはなかった。 しかし佐藤さん自身は、トルコの出国スタンプを押し、シリアの入国のスタンプを押されたことから、「違法入国だったと思っていない」という。このスタンプは、自由シリア軍が管理していたという事実も明かされた。 また「シリア当局軍関係者が確実にやったという証拠はない」と述べ、シリア政府が意図的にジャーナリストを狙ってるという指摘について「断定的には言えない」との見解を示した。 このことから、佐藤さんは「シリア政府に怒りを覚えている訳ではないが、死んだことは事実。その真相を知りたい」と強く訴えた。もしシリア政府が提示する結果報告に満足できなければ、次の行動も考えているという。 photo: 要望書を提出し終え、都内のシリア大使館を出る佐藤和孝さん
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