政治

トルコのシリア難民女性 「今後数年はシリアに戻れない」

Thursday, March 13, 2014

パンオリエントニュース

東京 - トルコで難民生活を送るシリア人女性ムナ・アルバドランさん(22)が来日し、11日、都内でパンオリエントニュースの取材に応じた。トルコで難民生活を送るシリア人の現状を説明すると同時に日本からのさらなる支援を呼びかけた。

トルコには現在約600,000人のシリア人難民がいるとされているが、そのうち約200,000人は難民キャンプにて暮らしている。一方、残りの約400,000人はキャンプ外で暮らしており、必要な支援を受けることも出来ず、自活していく必要性に迫られている。支援が必要とされている分野は多岐に渡るが、雇用の創出が目下の課題だとムナさんは話す。「シリアからトルコに逃げた人たちの失業率は深刻な問題。多くの人が紛争は長引き、少なくとも今後数年はシリアに戻れないと思っている。だからトルコで自活できる生活を築いていかなければ」

また、ムナさんが滞在する東部の都市ウルファでは、シリア人女性がジェンダー被害に遭っている問題を取り上げた。「難民の多くは金銭的に困難な状況にある。そこで、女性がシリア人とわかると、金銭や高価なものと引き換えに若い女性に結婚を申し出るトルコ人男性が多くいる。その多くが年配で既婚者で、実際はあまり裕福な人でないことがほとんど。真剣な婚姻関係を結びたいわけではないので、数ヶ月したら離婚されるケースが多い。まるで『動物』のように捨てられた女性もいる」と怒りを込めながら話した。トルコ・シリアの両国民の大半がイスラム教徒だが、婚前前に関係を持つことは禁止されており、離婚も特に女性にとっては社会的にいい印象を与えることはない。

また、トルコ人男性に加え、湾岸諸国からの男性にも同様の手段をとる人がいるという。ムナさん自身もサウジアラビア出身の男性から同様の話を持ちかけられた。「このような被害に遭う女性が今後出ないようにするための支援も行って行く必要がある」と述べた。

今回の訪日では、東京のみならず大阪や兵庫の高校や大学でも講演し、シリア紛争や難民の現状を日本の人々、特に若者達に訴えた。「私という実際のシリア難民が話をすることで、遠いことに感じていたシリアの問題が日本の人々によりリアルに伝えられることが出来たと思う。話を聞いてくれたたくさんの人がシリアの人々のために何らかの支援をしたいという意欲を見せてくれたことがとても嬉しかった」とし、今後については、特に失業率改善や教育、医療の分野で日本から支援をさらに受けられればいいと話した。

ムナさんはトルコでシリア難民の支援を行っている日本の認定NPO法人AAR Japan(難民を助ける会)の現地スタッフとして働いている。同団体は国連公認のNGOで、世界60カ国・地域に支援を届けてきた。ムナさんの今回の訪日も同団体がアレンジし、トルコに戻った後は教育面のプロジェクトに関わっていくという。


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