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アラブの春が観光業界に残した70億円の損失
Monday, October 31, 2011
ドバイ(パンオリエントニュース)
アラブ世界を熱風のように駆け抜けている革命だが、中東地域最大の産業であるホテルなどの観光業界はデモが起こる前に比べかなりの損失を出している。
サウジアラビアのジェッダに本拠を置くアラブ観光団体によると、アラブの春がヨルダン、エジプト、モロッコ、チュニジアといった国々の観光業界に与えた損失は約70億ドルに上る。
2011年上半期に中東と北アフリカを訪れた観光客の数は前年比でそれぞれ13%、
11%減となっており、状況がすぐに改善される見込みもない、と国連世界観光機構が述べている。
去年中東を訪れた6,100万人のうち、1,400万人はエジプトに滞在した。エジプトはGDPの16%を観光に頼っている。
アフリカで最も人気の高い国モロッコはGDPの5分の1が観光産業で、就労人口の17%が観光産業である。
チュニジアも同様にGDPの17%が観光産業、雇用の15%が観光関連であったが今年は半減した。
ヨルダンは他のアラブ諸国に比べ騒乱は少なかったが今年上半期の観光収入は、前年比
12%減であった。観光はヨルダンの経済の中で外国での出稼ぎ労働者からの仕送りと同様多くを占めており、6,500万の人口を抱えるこの国の主な収入源となっている。
2011年1月から8月までの間にレバノンを訪れた人は昨年比24%減であった。レバノンはGDPの34%が観光収入で雇用の32%が観光産業だが、隣国シリアでのデモや騒乱のため観光収入を大きく減らしている。
アラブ諸国での観光の落ち込みは観光が停滞するヨーロッパには朗報である。今年はギリシャやポルトガルに観光客が殺到した。 国連関係の組織によると、観光業は世界中でも3位に入る1兆2000億円規模の大産業で、世界経済の5.2%を占め、世界の雇用の12分の1を創出している。
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