外交
モロッコ国王がGCC諸国に「これまで以上の連携」呼びかけ 混迷するアラブ社会背景に
Friday, May 6, 2016
パンオリエントニュース
(リヤド) - モロッコ国王・ムハンマド6世が、4月20日にサウジアラビアの首都・リヤドで開始したモロッコ・湾岸協力会議(GCC)に参加し、参加国首脳の前でスピーチを行った。
国王はGCC諸国とモロッコが共通の言語、宗教や文明、信条や価値観を共有していることを背景に強い戦略的パートナーシップ関係にあることを強調した。地理的な距離は離れていても、特に安全保障の分野に関しては共通の懸念や試練に直面しているとも説明した。
シリアやイラク、リビアなどの現況を踏まえ混迷を極めるアラブ世界については、「『アラブの春』と呼ばれたものは結局破壊と悲劇をもたらしてしまった」と発言し、それが紛争下にない地域諸国にも影響を及ぼしているとして懸念を示した。さらに、「私達の集団的安全保障を弱体化させようとしている策略に我々は直面している。その目的は安全保障や治安、政治システムが安定しているいくつかの国々を不安定化させることにある。それらの国は、GCC諸国やモロッコ、ヨルダンなどだ。これらの国はアラブ世界においても平和で安定している国々であり、地域の人々にとってはオアシスのような国々だ」と話し、モロッコとGCC諸国間で特に安全保障分野で協力関係を強化させていきたいとした。
モロッコ自身が抱える問題の一つに、西サハラの領有権を巡るサハラ問題があるが、これに対する国連の事務総長・潘 基文氏の対応を痛烈に批判した。国王は、事務総長が西サハラに対する歴史的経緯に基づくモロッコの正当な領有権を侵害するような発言を行ったとしたが、しかしそれも事務総長が自身の側近や顧問の言いなりで、西サハラ問題への理解と知識が乏しいのが背景にあると指摘。その結果、この問題においてモロッコと敵対する面々から事務総長が利用されている面もあるのでは、と示唆した。
日本ではイスラムと聞くとテロと結びつけられやすい印象を持たれがちな傾向にあるが、ムハンマド国王は、「テロリズムはイスラムのイメージや評判を歪めるだけでなく、一部の人間によっては国々を分断させそこでの紛争を煽動する口実にも使われている。そのため、様々なイスラム法学派たちはオープンかつ深淵な対話を交わし、イスラムの誤った解釈や表現が横行を防ぎ、私達の本来の寛容な精神に基づく信仰を守っていかなければならない」として、これまで以上にアラブ諸国間での連携や結束を強固なものにしていかなければならないと強く訴えた。
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