環境

グリンピース、原子力投資に関するレポートを発表

Wednesday, June 13, 2012

東京―(パンオリエントニュース)


国際環境NGO「グリンピース」は12日、都内の日本外国特派員協会で『原発―21世紀の不良債権(Toxic Assets)』を発表した。

発表者の一人である関根彩子氏は、大飯原発再稼働に慎重な姿勢を示していた近隣府県が容認せざるを得なくなったことの理由として「経済界の一部の圧力」を挙げ、こうした問題意識から「原発が投資の世界においてどのような存在なのか」を分析したという。

レポートの著者であり、グリンピース・インターナショナル エネルギー投資シニアアドバイザーでもあるギョルギー・ダロスは、昨年の福島第一原発事故をきっかけに東電株価が90%値下げられ、またその4兆円もの社債がジャンク級に格下げされたことによって、投資家や金融機関が巨大な損失を出したと指摘。その理由として、様々なアナリストが発表した警告や原発事故のリスクが無視され続けてきたことを挙げた。

例えば2004年にスマトラ地震が起きた直後、東電は津波のリスクに関するリスクを開始し、福島原子力発電所が特にそのリスクが高いという結果を2007年に出していた。しかし「今後50年に6m以上の津波が発生する確率は10%」であるとして、これを無視した。格付け会社もそうしたリスクを無視し、2011年1月にはAA-という高い信用格付けを行っていた。ダロス氏は「リスクをあまりにも過小評価しすぎていた」と批判した。

ダロス氏はまた、「興味深いことに、福島原発事故の損失規模は東電の時価総額の80倍以上にも上るが、4機の原子炉が東電の時価総額に占める割合は5%にも満たないのである」と語った。発表されたレポートでは「原子力発電所は、投資家や金融機関にとって潜在的な不良資産である。経営母体の株主資本の100倍を超える負債が生じる可能性があるのは原子力発電所のみである」という分析を示している。

さらに原発事故がなくても、原子力資産はリスクが伴うという。とくに原発の老朽化に伴う寿命延長のための追加的投資は、数兆円にも上るそうだ。

関根氏は冒頭で「お金の流れを原発ではなく自然エネルギーへと転換すること」を主張したが、そこで940万の契約者数を持ち、日本の電力会社全9社の株式を全て保有する日本生命に対し、その発言権の行使を求めた。特に今月27日に開かれる関西電力の株主総会に向けて、筆頭株主の大阪市に次いで第二の大株主である日本生命が、大飯原発の再稼働に対してどう反応するか注目しているという。

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