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清水前東電社長、事故調に招致。野田首相は大飯再稼働を発表。

Saturday, June 9, 2012

東京―(パンオリエントニュース)

東電の清水正孝前社長は8日、18回目となる福島第1原発事故調査委員会に参考人として招致された。

委員会の大部分の時間が「撤退問題」についての追及によって占められた。清水氏は、福島原発からの作業員の「全員撤退は申し上げていない」とはっきりと主張し、東電から全面撤退の申し出があったという菅前首相に反論。しかし他方で、なぜ誤解が生じたかについては「私も推し測れません」と語るだけだった。

委員会メンバーの野村修也氏から「一部を残す」という言葉をはっきり使ったかと問われると、清水氏は「そこははっきりしない」が「その趣旨で申し上げていた」と答えた。清水氏は海江田元経産相らとの事故当時の具体的な会話内容になると、「記憶から蘇ってきていない」や「私の記憶にはない」と繰り返し述べていた。

野村委員が「東電の伝え方が問題ではなかったか」という指摘すると、清水氏は「話し手と受け手の認識の違いがあるとすれば、そのギャップを埋める余地はあったのではと思う」と言葉を濁した。

「撤退問題」をめぐる「誤解」について野村委員は、官邸の「東電本店への不信感」が原因ではないかとしたうえで、「なぜ発災以後、東電は官邸の信頼を失ったと思うか」と清水氏に質問した。清水氏は「実際のプラントの時々刻々の状況を正確にお伝えすることが困難だった」とし、「タイムリーに情報が伝わらなかったことが1つの原因ではないか」と語った。

野村委員は、「撤退問題」に内在する「より大きな問題」があるという意見を示し、「減災法の本来の相談ルートではなく、官邸とのホットラインが繋がってしまい、直接指示を仰ぐという体制が出来てしまったこと自体」が混乱を招いた原因となったのではないかと指摘。清水氏も「その通りだ」と同意した。

委員会後に行われた記者会見で、外国人記者から「今日の委員会では、東電が然るべき津波対策を取っていなかったことについて、あまり議論がなかったように思われる」と指摘を受けた黒川清委員長は、「今までも何回も津波対策について調査をしてきた。その他にも調査をしており、待っていてください」と語るだけだった。

また他の外国人記者は、清水前社長の富士石油の社外取締役への天下りを批判した。「この人事は菅前首相の言うようにいかに『原子力ムラ』が強いという証そのものではないか」という指摘に対しては、黒川委員長は「なるべく価値判断はしないようにしている」と回答した。

記者会見が始まる30分前、野田首相は官邸で「国民生活を守る」ために「大飯発電所3、4号機の再起動」決定を表明。野田首相は「福島を襲ったような地震・津波が起こっても、事故を防止できる対策と体制は整っている」とした一方、絶対的な安全基準はないと述べた。国会事故調の黒川委員長は「なぜ国会事故調の報告を待ってからやらないのか」と批判した。

ちょうど同じ時刻、その外では4000もの人が「再稼働反対」とシュプレヒコールをしていた。福島県出身の女性は「水も食べ物も安心して食べられない。それが豊かな生活なのか」と怒りをあらわにした。

Photo: 国会事故調で原発事故について謝罪をする東電の清水正孝前社長

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