環境
菅氏、「最悪の場合首都圏3000万人の避難が必要だった」
Monday, May 28, 2012
東京―(パンオリエントニュース)
第16回国会事故調は28日、東日本大震災当時首相であった菅直人氏を招致した。菅氏は委員会冒頭で、「原発事故は国策として続けられてきた原発によって引き起こされたものであり、そういった意味では最大の責任は国にあると考えている。この事故が発生した時の国の責任者として、この事故を止められなかったことについて改めて心からお詫び申し上げる」と述べた。
菅氏は震災までの状況について、「安全性に対して備えが不十分であった」と指摘した。例えば、福島第一原発はもともとは海面から35mの絶壁の上の高台にあったが、海水をくみ上げるために10mの高さにまで切ったという。 こうしたことが起きた原因として、委員会終盤で、「東電と電磁連を中心に原子力行政の実権をこの40年の間に次第に掌握し、批判的な専門家や政治家・官僚はムラの掟によって村八分にされ、主流から外されてきた」こと、「それを見ていた多くの関係者が自己保身と事なかれ主義に陥った」ことを挙げ、根本的な社会・精神構造を批判した。菅氏は「今回の原発事故では、最悪の場合首都圏3000万人の避難が必要となり、国家の機能が崩壊しかねなかった」という危機感をもっていたことを明らかにし、「脱原発の実現」を訴えた。
避難指示の際に、最悪の状態の可能性を住民に開示することは考えなかったのかという委員会メンバーからの質問に対しては、「事実として確定していれば伝えるというのが原則」で、「基本的には国民の皆さんにお知らせをする直接の担当は官房長官にお願いをして」いたと述べた。一方で事実が確定していないものについては、「(お伝えするのは)必ずしも適切であると言えない」とした。
震災当日、2号炉損傷可能性のシュミレーションを政府として行っていたにもかかわらず、国民へ明らかにしなかったことについては、「どこまで示された可能性を説明するのか、適切なのかは皆さんで考えて頂きたい」と述べた。しかし、委員会後の記者会見で、この解析結果の資料は「当初の政府の報道発表資料には出ていた、新聞テレビが伝えようとすれば伝えられたはず」と指摘が出た。 また事故当時、東京電力の社長であった清水正孝氏招致については、黒川清委員長はノーコメントを貫いていた。
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