外交
河野外相サウジを訪問 関係拡大を強調
Monday, April 29, 2019
(リヤド) – (パンオリエントニュース) サウジアラビア訪問中の河野太郎外相が、首都リヤドで国王・首脳閣僚と会談した。河野外相はサルマン国王とムハンマド・ビン・サルマン皇太子を個別に訪問し、両者との間で日本とサウジアラビアの外交関係を今後も強化していくことを確認した。
アブドゥルアジーズ・ビン・ナーイフ内務大臣、ムサード・アル・エイバン閣外大臣、イブラヒム・アッサーフ外務大臣、ナーイフ・アル・ファハーディ駐日サウジアラビア大使、上村司駐サウジアラビア日本大使、岡浩外務省中東アフリカ局長がサルマン国王との会談に同席した。また、河野外相はアデル・アル・ジュベイル外務担当国務省とも会談したと関係者が明かした。
関係者によると、河野外相はトルコ・イスタンブールのサウジアラビア総領事館で殺害されたサウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏の事件については明確に言及しなかったが、同国の司法制度が透明性をもって行われ、常に事実を明らかにするものであると信頼していると述べた。
会談の主題の一つとなったのがG20で、今年度は大阪で、来年度はサウジアラビアで開催される。河野外相は、サウジアラビアが進める改革を支援すると共に、「日・サウジ・ビジョン2030」を着実に実行していくという決意を改めて表明した。
同ビジョンは2カ国間協力の基本的な枠組みと具体的なプロジェクトをまとめたものであり、これまでの石油や石油化学を中心とした両国の関係を拡大させ、包括的かつ戦略的な関係を構築するために策定された。
河野外相は、サウジアラビアが進める石油依存の経済から脱却し、多角的な経済産業構築を目指す改革を支持することを強調した。2019年3月時点の統計によれば、日本の原油のおよそ40%がサウジアラビアから輸入されており、日本にとって最大の原油輸出国である。
同時点で9.1%がイランから輸入されていたが、米国がイランに課した経済制裁により日本企業はイランとの原油取引を停止することを発表した。河野外相はサウジアラビアからの原油輸入を増大させるといったことには触れなかったが、外務省関係者は原油取引に関しては政府よりも企業が決める事柄であると話した。イランについては現地新聞のアル・リヤド紙が、28日に行われた会見での志野光子外務副報道官が、イランについて日本はサウジアラビアのイランに対する姿勢を理解しており、両者間の関係について日本が積極的に果たしていける役割があると発言したことを取り上げた。
また、河野外相は紛争が続くイエメン情勢について言及し、GCC諸国及び中東地域の平和構築のためにサウジアラビアが地域安定に重要な役割を担っていることを強調した。
今回の訪問で河野外相は政府要人との会合に加え、ユニ・チャーム株式会社がサウジアラビアに有する子会社(Unicharm Gulf Hygenic Industries Ltd.)の工場を訪問した。同工場では約90人のサウジアラビア人女性が働いており、日本発の技術を利用した乳幼児や女性用衛生用品が生産され、約20カ国に輸出されていることに加えサウジアラビアでも広く普及している。また、首都を一望できるキングダム・タワーも訪れた。
志野外務報道官は、日本が工業・科学技術分野の専門家をサウジアラビアに派遣するなどして両国間の産業・金融分野での関係も拡大していくことに関心を持っていると述べた。(カルドン アズハリ)
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