外交
駐日エジプト大使 日本からの投資と観光客誘致に期待と意欲みせる
Friday, September 5, 2014
パンオリエントニュース
東京 - 駐日エジプト大使ヒシャーム・エルゼメイティー氏は、5日、『大統領選後のエジプト情勢の展望』という内容で講演し、エジプトが安定を取り戻しつつあることを強調しながら、エジプトの今後の展望と課題について語った。講演は笹川平和財団が主催した。
「エジプトは安定を取り戻しつつある。若者への雇用創出、そして経済再生のために不可欠な収益を生むために、スエズ運河拡大を含む大規模な経済計画にも着手した。人々は通常の生活に戻りつつあり、これが最も重要なことだ」とエルゼメイティー氏は述べ、エジプトがほぼ4年続いた政変を乗り越え、復活への順調な歩みだしを切ったことをアピールした。
しかし、「私達が直面している目下の課題の一つは、エジプトがテロに対する戦い、特にシナイ半島で頻発するテロリストと一人で戦っていることだ。また、1,200kmに及ぶリビアとの国境線も、誰からの支援もなく防衛している。国際社会はテロがいつ、誰が標的になるか予測不可能であるという脅威をようやく自覚しつつあるが、もっと踏み込んだ行動をとる必要がある」と述べ、エジプトの対過激派・テロ集団との戦いへの国際社会からの支援を訴えた。加えて、講演に参加した聴衆に対し、エジプトが1986年の時点で既に対テロ対策としての国際決議を国連主導で締結するべきだと呼びかけていたことに触れ、「今こそ国際社会が断固とした行動をとるときだ」と強く呼びかけた。
約50日間に及ぶ戦闘を経てようやく先月26日に長期停戦に合意したイスラエルとパレスチナ自治区ガザを暫定統治するハマスだが、交渉を仲介したエジプトの役割と成果についてエルゼメイティー氏は、「エジプトは1979年に締結された頃より一度も破られていないイスラエルとの和平協定を尊重し、今後も順守する。同時に、パレスチナの人々が長年の苦しみから解放され、ヨルダン川西岸、ガザ地区、そして東エルサレムを首都とする領土を持つパレスチナ国家創設を謳う2国解決案が実現されよう最大限努力する」と述べた。一方で、「過激派組織が若い戦闘員獲得のために苦境にあるパレスチナ人の若者達につけ込んできた。私達、そして国際社会は協力してこのような歴史的不正義を終わらせなければならない」と呼びかけた。
日本との関係については、エジプトの大事な友人でパートナーであると述べつつ、日本メディアのエジプト情勢に関する報道には偏りがあると批判した。「他の海外メディアのエジプトに関する報道を参考にするのではなく、実際にエジプトに来て、見たままのことを報道してほしい。エジプトでは前向きな進展も起きているのに、それを日本メディアはほとんど報道しない」と遺憾の意を伝えた。
一方で、日本外務省が発表する海外渡航情報に関し、一部エジプト地域の危険度が最も低い水準まで下げられたことを歓迎した上で、外務省が危険度を下げたことは、エジプトが安定を取り戻し、海外ビジネスへの門戸が再度開けたことを意味するとして、この点も日本メディアでは報道されない、と再度釘を刺した。しかしながら、エルゼメイティー氏は、危険度が下がったことが多くの日本人観光客がエジプトを再び訪れるきっかけになるようにとの期待を見せた。
エルゼメイティー氏は2011年に駐日エジプト大使として赴任。以前はハンガリー、スロベニア、パキスタンにて駐エジプト大使を務めた。
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