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池子の森  米軍池子住宅地区  「自然を破壊しないで」と市民団体ら増設反対 

Thursday, September 30, 2010

横浜市の「米軍池子住宅地区」住宅増設問題で先月、日米が増設を約400戸で合意した問題を巡り、「貴重な自然環境を破壊しないで」と住民から強い反対の声が上がっている。 米軍住宅は横浜市と逗子市をまたがる約290ヘクタールの『池子の森』に建設される予定。神奈川県鳥獣保護観察指導員らによると、同森は、オジロワシ、オオタカ、ハヤブサ、フクロウなど100種類の鳥類が生息している「自然の博物館」と言われている。

2004年に発足した横浜市の市民団体「米軍住宅増設をやめさせ、基地返還と池子の森を守る会」は、2004年以降、建設中止などの運動を展開し続けている。同団体の代表で、関東学院大学経済学部の安田八十五教授は、論文で「『池子の森』における環境の経済的価値」を発表。年間で「3700億円」に昇ると指摘する。「これは世界遺産の鹿児島県の屋久島より高い。世界遺産クラスの価値がある」と安田教授は強調する。

近所の女性(70)は、「これは、都会に残された本当に貴重な森です。いくら米軍が『あなた達を守る為』と言っても、自然を破壊してまでも米軍住宅を建設してほしくない」と反対している。

森近辺の住民らと建設反対運動に協力している日本共産党、金沢区の青年対策室長、阪本まさきさんは、「共産党としてこの森を守りたい。交渉の末、増設を700戸から400戸へと削減出来た。残りの400戸も別の場所に移してもらいたい。金沢区の子供が自然と楽しく遊べるような将来を残したい」と話した。

また、森の周辺に住む同団体最年長85歳の田澤清之さんは、「戦前、この森周辺で旧日本軍が毒ガスや手榴弾などを破棄していたと聞いている。自分もここの住民として、今後の工事で地面が掘り起こされるのが恐い。米国側に調査なしで建設をやってほしくない」と懸念を示した。

2003年11月、環境省の調査結果、旧日本軍が毒ガス・イペリットを保管したり破棄したりしていた危険性が森周辺(逗子市久木地区)にあることが認定されている。

安田教授によると、同森での米軍住宅建設問題が浮上したのは1981年。83年以降、同建設問題は全国的な社会問題となった。1994年逗子市の市民らからの強い反対があって、米国、日本、逗子市の間で三者合意で決着が付いた。しかし、2003年7月に日米両政府が合意を破り、「横浜市での住宅建設は違反ではない」と解釈し、横浜市側の森に米軍家族住宅800戸建設すると発表。逗子市は三者合意違反として国を提訴し、裁判へ。しかし、横浜地裁も東京高裁も「法律上の訴訟にあたらない」との理由で訴えを却下した。

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