外交

「駐日イラン大使 パレスチナ問題を語る」

Friday, May 31, 2019

パンオリエントニュース 東京

駐日イラン大使館は東京ジャーミーとの共催で5月31日(金)のアルクッズデーにイスラム教徒の集会を開き、占領されたエルサレムとアルアクサモスクのパレスチナ及びイスラム教徒への返還を訴えた。
集会は東京在住の100名以上のイスラム教徒と共にパレスチナ大使も出席し、スピーチを行った。
ワリード・シアム駐日パレスチナ大使はスピーチの中で、日本のイスラム教徒及び日本や世界各国のイスラムの支援者たちに向けてエルサレムや他のパレスチナ領のパレスチナ人たちへの支援を呼びかけた。具体的にはイスラエルにより体系的に破壊された学校、病院、そのほかのインフラ設備の建て直しである。そしてイスラエルが自らの占領地においてパレスチナ人及び他のアラブ人たちを排除する「民族浄化」を行っており、それについて日本や世界各国のイスラム教徒はイスラエルを非難するべきと語った。

アルクッズデーはラマダン月の最終金曜日に開かれるイベント。アルクッズは1967年にパレスチナからイスラエルが占領し、イスラエルの首都とされた。アラブ社会とイスラム教徒はこれに反発し、この町のパレスチナへの返還を訴えておりこれは国連決議にもなっている。日本はこの決議を支持している。

31日の集会でモルテザ・ラフマーニ・モヴァッヘド駐日イラン大使が語った概要(サマリー)は次のとおり。

「70年以上に渡るシオニスト体制の人道に対する犯罪に国際社会はいまだに答えを出せていない。パレスチナ問題についていくつかのトピックに言及する必要がある。第一に、イスラム世界の第一課題としてのパレスチナの理想の実現である。エルサレムはイスラム教徒にとって特別な場所である。第二に、シオニスト体制による国際法違反。シオニスト体制派国際ルール違反を継続しており、国際社会もこれに対して無関心。第三に、エルサレムの問題。エルサレムはイスラム教徒の聖地であるが、シオニスト体制は占領時からこの場所のユダヤ化政策を重要課題とし、イスラム建築の破壊やユダヤ人入植地の建設などを行っている。国連の度重なる決議に照らし、占領されたエルサレムのあらゆる変更は無効である厳しく非難されるもの。アメリカ大使館のエルサレムへの移転も国際決議違反である。第四に難民問題がある。シオニスト体制はパレスチナ難民の祖国への帰還を阻止しており、UNRWAの発表のよると登録されたパレスチナ難民は5,900,000人に上る。第五にガザ地区の経済封鎖。ガザ地区は2007年からシオニスト体制とエジプトによる厳しい封鎖下にあり国際機関や諸外国の度重なる要請にも関わらず人道的要請にシオニスト体制はこたえていない。いまやガザ地区は世界最大の監獄と化している。
第六にユダヤ国民国家法の問題点。シオニスト体制はアパルトヘイト体制であり、自らの市民をユダヤ人と非ユダヤ人に分けており、パレスチナ人は二級市民とみなされている。
第七に妥協プロセスの無意味さ。1991年に始まった中東和平プロセスだが、これとアメリカの不誠実な仲介から25年が経過してパレスチナ国民は自らの権利を守るために抵抗以外の選択肢がなくなってしまった。
第八に抵抗がパレスチナ国民の唯一の選択肢であるという事実。絶望の蔓延と2000年、2006年、2009年に渡るシオニスト体制の侵略の継続により、シオニスト体制の前にはパレスチナ国民に与えられた唯一の選択肢は抵抗であるという結論にいたり、パレスチナ国民は大きな代償を払うことになった。
第九に「世紀の取引」という名の計画がある点。これはパレスチナ国民の理想の完全破壊とシオニスト体制の利益確保を目的としたものである。アメリカはこれを一方的に支持している。非公式発表ではこの計画はシオニスト体制の首都としてのエルサレム、パレスチナ政府によるヨルダン川西岸の統治を認めない、ヨルダン川西岸の入植地を撤去しない、入植地の併合、パレスチナ難民の帰還権を与えないなどがふくまれておりパレスチナ国民の権利を蹂躙するものである。このような計画によってパレスチナ国民の祖国を売ることはできない。
イラン・イスラム共和国は、パレスチナ国民の理想と、シオニスト体制による占領支配の完全撤退までの国民の抵抗を引き続き支援する。自国の将来を自国民自ら決める権利が与えられること、難民の帰還、エルサレムを首都とするパレスチナ独立政府の樹立は国際法の明らかな原則であり、民主主義の原則にも合致したものである。」



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