外交

中国の「反テロ法」がもつチベット人とウイグル人への危険性

Sunday, December 4, 2016

パンオリエントニュース

(東京) ICT(インターナショナル・キャンペーン・フォー・チベット )の欧州連合政策担当であるヴィンセント・ミッテン氏が、15日、都内の外国特派員協会で記者会見を行った。

パンオリエントニュースの中国の同地域に対する政策が長期的にはどのような影響を及ぼすかという質問に対し、ミッテン氏は、「チベットとウイグルの文化、言語、そしてアイデンティティを守ることは中国政府にとって脅威となっている。一方、チベットでは中国語を話す若者が増えており、彼ら自身の言葉が使われなくなってきている。また、中国政府のチベットに対する政策は環境問題にも影響を与えている。チベット高原の氷河は失われつつあり、過剰なダム建設により森林などが消滅していっている」と答えた。すでに影響が出始めている環境問題について、次の国連機構枠組み条約締約国会議(COP)でも注意を払うべき問題だと訴えた。

現在、チベットでは暴力的な事件が起きていないにもかかわらず、「反テロ」と称する軍事行動の拡大が頻繁に起こっており、チベット人独特の宗教的かつ民族的な表現を”分裂主義”と混同させ、暴力的行為と平和的行為の違いを曖昧にしている。その結果、中国政府は「反テロ対策」と称してチベットとウイグルの宗教的そして文化的な生活を脅かし、さらなる弾圧を正当化する手段として「反テロ法」を用いている。

一般にこのような政策は社会的な緊張を高め、異議や意見の表現の自由を奪い取られることから、より暴力的な緊張を生むと同時に国際社会の正当なテロ対応への努力が損なわれる可能性がある。治安の良さは過激武力な権限拡大やノーベル平和賞受賞者であるダライ・ラマ氏をテロリストとしてレッテルを張ることからでも得られるものではない。

FIDH(国際人権NGO)のオペレーション・ディレクターであるマルソー・シヴィッデ氏は、「中国の国防政策の強化と新しい反テロ法の成立は既存の法律と条例の基で、すでに広く奪われている表現の自由、平和的な談合や宗教活動に大きな弊害を及ぼす」とし、「平和的な表現を使って体制に異議を唱えたことで、国家治安への脅威として罰することは国際人権法に反するだけでなく、平和的表現の自由や異議の主張を可能にするはけ口を開鎖することで社会的緊張を高め、さらには過激主義を奨励することにもつながる」と語っている。(文章・有村悠子)

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