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UNRWA事務局長の来日「UNRWAはパレスチナ難民によるパレスチナ難民のための機関」

Sunday, October 26, 2014

パンオリエントニュース

東京 - 10月23日、都内において「パレスチナ難民の今を考える」と題したシンポジウムが開催された(主催/特活・日本リザルツ他)。ワリード・シアム駐日パレスチナ大使は、「2012年の国連総会の決議では、138カ国がパレスチナを承認したが、現在も450万人以上のパレスチナ人が占領下にある。パレスチナ人はイスラエルによって毎日危険な目に晒され、屈辱的な経験をし、不平等な扱いを受け、分離され、土地を不法に没収され、また家屋や木々などの破壊、がなされている。しかし、それはパレスチナ人が直面している問題のほんの一部でしかない」とし、イスラエルによる違法な占領について国際社会の公正な対応を求めた。

一方、今年3月にUNRWA(国連パレスチナ難民救事業機関)事務局長に就任したピエール・クレヘンビュール(Pierre Krähenbühl)は、「パレスチナ難民はヨルダン川西岸にも住んでいるが、その地域にはイスラエルによる多くの入植地があり、パレスチナ人の住民は危険に曝されている。シリアには54万人のパレスチナ難民がいたが、その内の半分がシリア内で居住地を追われている。故郷のパレスチナにおいて家を失い、そして、避難先であるシリアにおいても家を失う経験をされた、ということである」と、パレスチナで定住するパレスチナ難民のみではなく、他のアラブ諸国に避難民として生活を強いられているパレスチナ難民の過酷な現状を危惧した。

 また、クレヘンビュール氏は、「UNRWAの職員の内、9割がパレスチナ人である。これは、パレスチナ人自身が自分達を助けている、ということであり、職員が受益者のニーズについて熟知している、ということである。」とした。

 最後に、「UNRWAは既に65年間存在してきたが、そろそろ、このパラダイムを変える時期がきたのではないか。第二次世界大戦後、ヨーロッパでは誰も復興ができるとは考えてはいなかった。恐らく、焼け野原となった日本でも、同様であったのではないか。しかし、皆、努力をして復興をした。パレスチナも同様に、次に向かって歩く必要がある。将来の権利や尊厳のために頑張って行きたい」と強い言葉でシンポジウムを結んだ。 (堀尾 藍)

写真左から:清田明宏(UNRWA:国際連合パレスチナ難民救済事業機関保健局長)、
ワリード・シアム駐日パレスチナ大使、ピエール・クレヘンビュール
(Pierre Krähenbühl:UNRWA事務局長)

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