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サイード・アブデルハディ~エジプトのダルウィーシュ、伝統舞踊の回転の舞~

Wednesday, August 13, 2014

カイロ - サイード・アブデルハディは地球の重力の助けを借りてうまくバランスを取り、稀な集中力でカラフルなスカートを回転させながら、反時計回りに永遠と周り続ける熟練された舞踏家である。

ダルウィーシュとは、イスラム教集団のひとつである「スーフィー(イスラム神秘主義)」のメンバーによって踊られている伝統的な舞踏である。「スーフィー」という単語は「スーフ(ウール)」という言葉に由来しているが、スーフとは初期のイスラム教修行者たちがまとった目の粗いザラザラの生地でできたマントを指す。この集団は正統派イスラム教(そしてカリフ制度の世俗と退廃)の習慣に対し、新たに12世紀に作られたものである。

ダルウィーシュの主要な儀式は「ジクル」と呼ばれるもので、神とその象徴を賛美する言葉を繰り返し唱え、一種のトランス状態になるまで回転し踊り続けて肉体的な解放をするのである。

個々のダルウィーシュがトランス状態に達するまでのこのダルウィーシュの回転儀式は見事に構造化されており、ゆっくりとした回転から徐々にダイナミックになっていく。回転の際の音楽はとても魅力的である。信奉者たちによると、この詠唱と繰り返しのリズムと音楽は神秘的な旅のエクスタシーを呼ぶのだという。

中世ダルウィーシュは宗教・社会・政治において重要な役割を担っていた。伝統的なイスラム教が、音楽を宗教生活に有害なものと位置づけていたのに対し、スーフィーは音楽を信仰の証としての儀式に取り入れることに成功したのだ。

現在のエジプトでは、ダルウィーシュは必ずしもスーフィー教団の人々が踊るとは限らず、芸術家たちによっても踊られている。スーフィー教団の人々が旅をしながらより伝統的な形で踊ることももちろんあるが、ほとんどはエンターテインメントとして演じられることの方が多い。

カイロ旧市街の有名なカーン・ハリーリ市場のそばにダルウィーシュ・シアターがあり、名高い「タンヌーラ」が実演されている。

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