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アレッポの貴重な歴史的建造物 爆発で倒壊

Tuesday, May 13, 2014

パンオリエントニュース

アレッポ - 8日、シリアの古都アレッポで、最も歴史的価値が高いとされる建物の一つが爆発により倒壊した。

倒壊した建物は117年前に建設されたカールトンホテル。貴重な歴史的建造物が、混迷を極めるシリア紛争の新たな犠牲者の一つとなった。犯行声明を出しているのは反体制派武装集団『イスラム戦線』で、同ホテルが政府軍関係者が頻繁に利用している重要拠点の一つだからという。

現地の爆発の目撃者の一人は、「突然大きな揺れを感じた。最初は地震かと思った」とパンオリエントニュースに語った。「街に住んでる大半の人が揺れの直後爆発音を聞き、衝撃波を感じた。早朝の出来事だったので突然起こされた人も多かった。」

また、もう一人の現地人は、「私達の多くが、アレッポ市内の居住区で展開される政府軍と反体制派の衝突による爆発音を聞くことにもはや慣れてしまっているが、今朝の爆発音はひと際大きかった。市外の人にも聞こえたようで、自宅にミサイルやロケット弾が降ってきたと勘違いした人もいた」と話した。

爆発の後、煙の後から表れたのは跡形もなく粉々にされてしまったカールトンホテルの姿だった。イスラム戦線は、ホテルの下まで長いトンネルを堀りホテルの地下に爆弾を設置、爆発を決行したとされている。

カールトンホテルの周辺に建つ他の歴史的建造物も爆発による被害を受けた。

同ホテルは32の客室と大ホールで構成され、オスマン帝国のジャメル・パシャ統治時代に建設された(1897年)。本来は病院として建てられたもので、貧しい人々に無料で治療を施したことから建設後しばらくは「名もなき人のための病院」と呼ばれた。

ホテルはアレッポ古代都市区域に位置しており、アレッポ城要塞に面し、世界遺産として登録されているウマイヤドモスクにも近かった。

ウマイヤドモスクも紛争の影響で損傷している。専門家たちはシリア紛争による最も悲劇的な出来事の一つは貴重な歴史的建造物が破壊されていることだと指摘する。また、一部の現地シリア人はシリアの歴史、文化、そして宗教的に重要な場所が破壊されるよう計画的な手順がとられていると言う。「反体制派と政府軍の衝突に加え、反体制派の中では内部抗争が激化している。紛争を止める具体的な対策は一向に見えてこない。そしてこの紛争は、あるときは『世界の美術館』と呼ばれた国で起きている。紛争によって何千年も前から受け継がれて来た歴史的アイデンティティや宝が失われようとしている」と、元・シリア観光省職員は匿名を条件にパンオリエントニュースに語った。

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