政治

政府権限拡大へ警鐘 自民党憲法改正案

Friday, February 22, 2013

東京・パンオリエントニュース

自民党が昨年発表した憲法改正案を基に安倍晋三首相の動きが活発化する中、有識者の間で懸念が広まっている。明治大学法学部教授・ローレンス・レペタ氏、学習院大学法学部教授・神谷雅子氏、自由人権協会代表理事・北村洋一氏が都内の外国特派員協会にて会見した。

自民党作成の憲法改正案は、1)第100条1項衆参両院における憲法改正の提案要件を3/2から過半数賛成へ緩和、2)基本的人権を規定する第97条の削除、3)日の丸を国旗、君が代を国歌と定め国民はそれらを尊重しなければならないこと、4)第19条2項を新設し個人情報の不法取得の禁止、5)第12条にて規定される国民の自由及び権利は公益及び公共の秩序に反してはならないこと等が含まれる。

しかし、この改正案は国家の国民の基本的人権を守る姿勢が大きく後退しているという声が他方から聞こえてくる。特に第12条の改正に関しては、有権者の基本的人権(言論の自由など)が『公益及び公共の秩序に反する』と行政に見なされた場合に制限されてしまう可能性がある。

レペタ教授は、「第97条の削除は日本国民の基本的人権を軽視することにつながる。また、自民党の憲法改正案は個人の権利よりも公益や公共の秩序を重視しているようにとれる。日本は民主主義国家であるはずなのに、その基盤そのものを脅かすものだ」と述べ、新しい憲法が政府により権力を与えるものだと強い懸念を示した。

さらに、神谷教授は国際社会の基本的人権を定めるスタンダードと抵触すると、日本の国際社会における地位低下を示唆した。「現政権はまるで人類普遍の権利である基本的人権という概念を拒絶しているよう。日本は民主主義から成る世界の発展国の一つであるのに、現代の発展国々の枠から自らを追放するような行為だ」とした。

北村氏は、「この憲法草案がもし認められたとすると、その後も日本という国は果たして民主主義と人権を謳う国家と呼べるかどうか疑問だ」とした。

もし自民党の憲法草案が承認されれば、世界にも影響を与えるとレプタ氏は強調した。ジョージ・W・ブッシュ政権時の米国では、イラク戦争を前にして、果たしてイラクのような国を民主化することは可能か、という疑問の声が政府内で上がっていた。そこで例に出されるのが日本だという。戦後に見事に民主化した国の成功例の代表が日本なのだ。「戦後の日本の変遷が国際社会において与えてきた影響は多々ある。自国のことだけではなく、世界への影響も考慮に入れなければ」と述べた。

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