環境

国会事故調最終報告、「事故原因を津波のみに限定すべきではない」

Thursday, July 5, 2012

東京―(パンオリエントニュース)

福島原発調査委員会(国会事故調)は5日、参議院議員会館で記者会見をし、6か月にわたる調査の最終報告を行った。

報告書では事故の直接的原因について、「津波のみに限定すべきではない」とし、福島原発の事故原因を津波のみに限定した東電や政府、IAEAの報告書とは異なる結論を出した。

その理由としては、津波到達前に「1号機の運転員が配管からの冷却材の漏れを気にしていたこと」や「1号機の蒸気逃がし弁は作動しなかった可能性を否定できないこと」などが挙げられている。

さらに田中光彦委員によると、東電が福島原発に津波が到達した時刻について「原発から1.5km離れたところのデータを使用していた」という。田中委員は繰り返し「津波が来る前に原子炉が壊れていた可能性」を指摘した。

また石橋克彦委員も「大津波さえなければ事故は起きなかったとは言えない」と述べ、「日本全国の他の原発についてもきちんと検証していく必要がある」と主張した。しかし記者から、「地震による大きな損傷はないという前提で安全対策をし、原発再稼働に突き進んでいるが、その基準についてどう考えるか」と意見を求められると、石橋委員は「国会事故等の守備範囲ではない。立法府できちんと考えていただきたい」と答えるにとどまった。

崎山比早子委員は報告書に関して、「54基も原発を作ってしまったことが直接的原因であるのに、なぜそうなったのか事故調で手つかずのままということが非常に残念だ」と語った。

野村修也委員もまた、事故を回避するチャンスが何度もあったのにもかかわらず、東電ら「電力事業者が規制当局を牛耳」る「逆転関係」が起きていたために「規制が骨抜きになっていた」と厳しく批判した。

一方で、事故の責任がどこにあるのかを追求していかないのかという記者の質問については、野村委員が「訴訟を前提として責任追及していくこと、私どもはできない」と述べる。

また原発を国策として推進してきた自民党の責任を追求しなかった理由を問われると、黒川委員長は「(多くある調査対象の中でどの調査に)プライオリティーを置くかの問題だった」と語るだけであった。しかし、黒川委員長は報告書の「はじめに」において「ほぼ50年にわたる一党支配」を事故の根本的な原因として挙げていることを話した。

photo: 黒川清委員長

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